シングルモルトボウモアを知っていますか。シングルモルトに興味を持っている人は知っているでしょうし、興味は無くても観察力の有る人であれば近所のスーパーの棚に並んでいる事に気付いているかもしれません。
このボウモアは現在サントリーホールディングスに買収されているので、近所のスーパーでも見かける事が出来る訳出す。
このボウモアはシングルモルトファンに人気のアイラ島に蒸留所が有り、アイラの女王とも呼ばれています。
ボウモア蒸留所とサントリー
ボウモア蒸留所の操業は1779年。アイラ島で数あるシングルモルト蒸留所の中で最古の蒸留所です。
しかし、経営が悪化しオーナーが替わり続けました。1994年にサントリーの子会社になり、それ以降ボウモア蒸留所はサントリーホールディングスの所有になっています。サントリーが資本参入する前は経営が悪化していて、熟成に使う樽も古いものを再利用していました。
サントリーは自社から宮本博義を派遣しました。この宮本さんはサントリー山崎の工場長もしていますから、正にエースを送りこんだ訳です。
宮本さんが言うには、派遣された時のボウモア蒸留所の樽はひどかったそうです、それで全部樽を変えさせたと言っていました。ですからサントリーの子会社になって以降のボウモアは全て良い樽で寝かされているという事に成ります。
ボウモア蒸留所の立地
ボウモア蒸留所はアイラ島の中心部、ラガン海に面した港のそばにあり、遠くから見ると海に浮かぶ要塞のようにも見えます。
貯蔵倉庫についてですが、「第一貯蔵庫」は海抜ゼロメートルにあるため、そこで貯蔵されている樽は潮の影響を受ける事間違いなしです。
そして、このアイラ島はピートが豊富に有る事でも有名です。このピートとは、ヒース、水生植物などが炭化した泥炭の事で、仕込み水にもピートが含まれていますし、麦芽を乾燥させる際にもピートを使いますので、ボウモアの味わいに大きな影響を与えています。
ラインナップ
サントリーで公式発表されているレギュラーボトルは、ボウモア12年、ボウモア15年ダーケスト、ボウモア18年、ボウモア25年と成っています。
ボウモア15年ダーケストについて少しだけ取り上げておきます。先ず製造方法ですが、バーボン樽に12年寝かせた後、オロロソ・シェリー樽に詰め替えて3年更に寝かせて熟成させるという方法を取っています。
この最後の3年間オロロソ・シェリー樽に寝かせる事が、味に大きな影響を与えます。アイラモルト独特の、正露丸のような香であるヨード香と、潮の風味を柔らかくまとめ、樽そのもののシェリーの風味も含まれるのです。
手に入るボウモア
上記に挙げた以外にも沢山のボウモアが出回っています。例えば、ボウモア15年ライムリング、ボウモア スモールバッチ、ボウモアブラックロック、ボウモアホワイトサン、ボウモアゴールドリーフ、ボウモア10年テンペスト等々です。
それぞれのボトルにどのような拘りがあるのか、どのような製法で造られたのかよく知ってから飲むなら、いっそう美味しさを楽しむ事ができると思います。
一般に手に入るボウモアで私の一番のお気に入りは、ボウモア10年テンペストです。一つの樽からボトリングされるカスクストレングスで、一年に一度出されていると思います。毎年違う樽からボトリングされるので、毎年違う風味が味わえるのが楽しいのです。
一般に手に入る…と意味深な書き方をしましたが、裏ルートから手に入った推定40年以上寝かせたボウモアを頂いた事が有りました。市販のボウモアのピートの風味が全く抜けた、ボウモアにしてボウモアでは無い……絶品でした。
40年の年月がピート香を吹き飛ばしボウモアの芯の部分を見せてくれたのでしょう。こんな出会いが有るのでシングルモルトはやめられません。