どこの世界にも特別高価な物が有りますが、シングルモルトの世界にも高価なシングルモルトが存在します。主な理由は年数です。
樽を寝かせていれば土地代や管理費が掛かりますし、エンジェルシェアーでモルトウィスキーも減って行きます。シングルモルトを樽に寝かせている年数が長ければ長い程値段が高くなります。
また、蒸留所やボトラーズがそれほど多くの生産を予定しておらず、生産数が少ないシングルモルトも高値が付きます。加えてプレミアが付くシングルモルトも有ります。
ボトルのパッケージが変わった後、残り少なくなったシングルモルトにプレミアが付く事がありますし、蒸留所が閉鎖してしまったシングルモルトにプレミアが付きます。
マッカラン18年
マッカランはスペイサイドに蒸留所が有ります。1824年にハイランドで2番目に蒸留ライセンスを取得し、合法的に蒸留が行える政府登録蒸留所として発足しました。
蒸留所の歴史はさらに古く、現在の蒸留所周辺がまだマッカラン教区といわれていた18世紀初めにはすでに蒸留所として名が知られていました。マッカランはシェリー樽に拘っている蒸留所として知られています。
現在発売されているラインナップに、シェリーオークシリーズ12年、18年、25年、30年が有りますが、マッカラン社が原木の選定から製樽まで徹底管理してつくられたシェリー樽で熟成された原酒のみを使用しています。
またファインオークシリーズには10年、12年25年、30年が有ります。このシリーズヨーロピアンオークのシェリー樽原酒とアメリカンオークのシェリー樽原酒とバーボン樽原酒をバッティングしたシリーズとして販売されています。
バーボン樽も使われていますが、シェリー樽への拘りを感じる事ができます。シェリーオークシリーズ30年、ファインオークシリーズ30年、共にお値段18万円です。30年という長い年月が18万円という高価を生み出している一例です。
マッカラン1946
このマッカラン1946、お値段4600万円、桁違いもいいところです。2010年にチャリティーオークションで出品されました。このマッカランが蒸留された1946年頃は第二次世界大戦の影響が色濃く出ていました。
戦争時には人も物も全て戦争の為に使われました。マッカラン蒸留所が拘りのシングルモルトを作るために使用していた石炭も例外ではありません。
上でも述べましたようにマッカラン蒸留所はシェリー樽に拘り、スムーズに飲めるシングルモルト造りをしていたので、とにかく石炭を使って蒸留したかったはずです。
しかし、職人たちは戦争によって蒸留を阻止される道では無く、ピートを使ってでもマッカラン蒸留所を再起動させる道を選んだのです。ですからこのマッカラン1946は、ピート臭いマッカランになっています。
想像の世界ですが、マッカラン1946をグラスに注いで出されても、マッカランとは気付かないのでは無いかと思います。
何せピート臭いマッカランなんて、ほとんどの人は飲んだ事がありませんから。このマッカラン1946の値段は、クリスタルブランド「ラリック」のボトルに入っているマッカラン1946の値段です。
マッカラン55年
マッカラン55は、カルティエなどのアクセサリーやオリエント急行のインテリアなどをデザインしたガラス工芸家のルネ・ラリックがデザインしたボトルに詰められているもので125万円です。マッカラン55も石炭が不足していた時代に蒸留されているのでピート香が強いマッカランとなっています。
マッカラン1946とマッカラン55は希少価値が高いゆえに値段が高いと言えますが、他にも色々高い理由が有りそうですね。
マッカラン1946を蒸留したとき職人たちがどんな思いで働いたのか、そんな事を想像しながらマッカラン1946を飲めたら幸せでしょうね。
今回はマッカランを一例として取り上げましたが、他にも高価なシングルモルトは幾つも有ります。例えばグレンフィディック1955とか…